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地域医療(community-based care)は、地方やへき地における医療という意味だけでなく、都会の開業医の提供するような医療をも含む、非常に広い概念である。元々、医療は各地域で行われており、医療はすべからく地域医療であったはずだが、病院における医療の組織化が進んだことで、そのアンチテーゼとしての地域医療が取り沙汰されるようになったといえるだろう。
長野県の佐久総合病院では、1950年代から農村医療という実践が行われていたが、その中心は訪問健診活動や、劇による住民への健康増進活動であったと言われる。このような取組は、英国でのgeneral practiceへの国家的取組、米国での1966年のMillisレポートに始まる家庭医療の取組など、国を巻き込んだ取組にもつながっていった。1978年には、ソビエト連邦アルマアタ(現在のカザフスタン国アルマティ)でプライマリ・ヘルスケアが初めて定義され、医療の枠組みを超え、多職種を巻き込んだ医療、保健、福祉の取組が俗にいう地域医療という用語に包含されていると考えるべきであろう。妊婦の保健相談、子育て支援、リハビリテーション、障碍者支援といった領域も含まれると考えてよい。
近年では、2004年の臨床研修必修化以降、自治体病院やへき地診療所の経営困難、地方自治体や二次医療圏レベルでの医師引き揚げや医療崩壊と関連して、地域の医療供給体制という観点での地域医療の議論が盛んになっている。この文脈では、むしろ地域中核レベルの病院が地域医療の最前線という位置づけになることが多く、政治的な課題になりがちでもある。このような広い観点を含めると、多くの医師が地域医療に従事する必要がある。
地域医療においては、いわゆる総合医など、プライマリケアに近い医療が提供できる医師の必要性が高い。一定数の医師が地域医療に従事するとなれば、卒前教育レベルから医学教育に地域医療に関する学びを含める必要があり、地域基盤型医学教育が新たなトピックスとして注目されている。