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D113 |
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スイス医師会職業規則 (1997年7月1日発効) |
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Standesordnung
FMH (Inkraftsetzung
am 1.Juli 1997) |
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訳者解説 この医師職業規則は、スイス連邦共和国の総ての州(カントン)に適用される統一された規則としてスイス医師会が1997年に発布したものであるが、それまでは州ごとにこのような規則を持っていた。目次に示したように、この職業規則には各種の指針類が付属資料として包含されている。 訳者はベルン州の医師職業規則1987年版の翻訳も作成しているので、比較してご覧になりたい方はご連絡下さい。 これらの資料はいずれもドイツ語で書かれているが、スイス医師会のホームページに掲載されているので誰でも読むことができるようになっている。 なお、現在問題になっているカルテ開示については Art.13 に規定が示されている。 1999年7月1日 訳者 岡嶋道夫 この職業規則は2007年までに8回改定されている。 |
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Art.49 |
スイス
A.
B.
C.
D.
E.
人体における遺伝学的検査に対する医学−倫理指針(1993年6月3日)
F.
死につつある及び脳を著しく損傷された患者の医学的ケアに対する医学−倫理指針(1995年2月24日)
付属資料2 「情報と宣伝」指針
付属資料3 医師のメディア従事に対する指針
付属資料4 助言医に対する指針
序文
人が健康であることは、医師の行為の最高の目標である。この目標は、社会の変化、職業倫理の発展及び医学における変化に従うことを意識して、スイスの医師の上部団体であるFMH(スイス医師会)は、ここに示した職業規則を発布した。
職業規則は、医師*1とその患者*2、その同僚*3に対する関係、並びに公衆及び保健医療におけるパートナーに対する態度【行動も意味する】を規定する。最後の章は適用範囲及び適用される手続規定に当てた。
*1【以下本文では男性医師と女性医師を併記した形で書かれているが、訳文では単純に「医師」と表現することにした】
*2【医師の場合と同様に、本文では男性患者と女性患者を併記しているが、訳文では単純に「患者」と表現する】
*3【医師の場合と同様に、本文では男性同僚と女性同僚を併記しているが、訳文では単純に「同僚」と表現する】
職業規則は、FMHの全会員に対して拘束力があり、さらに全ての医師に対して、スイス医師の行動規範としての意義を有する。
スイス連邦及び州(Kanton)の立法、とくに州の保健医療の法律は、いかなる場合にも職業規則より優先する。職業規則が州法と矛盾するときは、州の医師組織はその点を解明するような規定を作る。その他の場合には、職業規則の中で規定されていれば、州医師組織は補足的な規定を公布することができる。州の医師組織によって職業規則と関連して公布する規則は、すべてFMHの中央理事会(Zentralvorstand)に報告されなければならない。
I 職業規則の目的
Art.1 職業規則の目的
この職業規則は、患者、同僚、保健医療の他のパートナーたちに対する態度、並びに公衆における態度を規定する。
これが目的とするものは:
·
医師・患者間の関係の信頼を促進する;
·
欠点のない専門的な医師によって住民の健康を促進する;
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医師の教育と業務の質を保証する;
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医師職業の名声と自由を守る;
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医師の間の同僚としての関係を促進する;
·
職業倫理的態度を促進し、職業倫理に反する態度を定義し、予防し、処罰する。
II 原則
Art.2 医師の任務
医師の任務は、人の生命を守り、健康を促進・保持し、疾病を処置し、苦しみを和らげ、死につつある人に付きそうことである
Art.3 医師の職業業務
医師はその職業を慎重かつ良心的に実施し、それによりクライアントと公衆の信頼を受けるのに相応しいことを示す。その条件となるのは個人の人格的完全性と職業上の能力である。
医師は、患者の幸せのために、予防、診断及び治療、並びにリハビリの処置を行使する。そのさいに医師は経済の要請を遵守する。
医師は、その仕事の質を保証するために、提供された機会を活用する。医師は、生涯教育規則による生涯教育を常に義務づけられている。
医師は、自分の良心に適っていない医学的処置を行ったり、またそのような意見を述べたりしない。
III 患者に対する態度
Art.4 処置の原則
すべての医学的処置は、人間の尊厳を守り、患者の人格、意思及び権利を尊重して行わなければならない。
医師は、医師としての職業従事から生ずる依存関係を誤用してはならない、とくに関係を感情的、性的、物質的に利用してはならない。
医師は、すべての患者を人によって差別することなく、同じような綿密さをもってケアしなければならない。患者の社会的地位、宗教的または政治的信念、所属する民族、経済状態を影響させてはならない。
Art.5 医師選択の自由;処置する任務の受諾と拒否
医師は、医師を自由に選び、または替えるという自分の患者の権利を尊重しなければならない。他方、医師には、解明する任務または処置する任務を受諾するか断るかの自由がある。医師が第三者の名前または任務において従事する場合には、例えば療養所や保険、留保される。救急の場合は、援助義務は如何なる場合においても、すべての医師に適用される。
Art.6 治療でない任務
医師と患者の間に治療ではない関係が存在するときは(例えば法医学者、鑑定人、健康保険審査医)、該当者はそのことをはっきり伝えなければならない。
Art.7 治療任務の遂行
医師は、患者との個人的関係を可能なかぎり保証しなければならない。医師は、その患者の個人的ケアにあたって、その病状がどれだけのものを必要としているかについて配慮する。
個人的ケアに対する義務は、開業医に対しては必要な往診もとくに含んでいる。
第三者から書面、電話または電信により伝えられた情報や報告だけに基づいて、反復継続的に治療することは、良心的職業従事とは相容れないものである。記録による対診は留保される。
Art.8 論議のある治療法
医学の基本的知識を無視して、また患者の信用、無知、信じやすいこと、または途方にくれたことを利用して行われるときは、論議のある診断または治療の方法は不許可とみなされる。とくに科学的立場からみて不治とみなされる病気の場合に、治療の成功を約束することも許されない。
Art.9 非自立の従事;個人的ケアの継続
勤務医は、非自立の職務枠内においては、自分の名前で行為をしてはならない。医師は、患者が誰と診療契約を結んでいるかについて、明確に心得る配慮が必要である。
職業従事が自立か非自立にかかわらず、個人的世話の継続はできる限り保証しなければならない。
Art.10 説明の義務
医師はその患者に、所見、行おうとする診断及び治療処置、それらの効果の見込及びリスク、並びにありうる代替処置について、理解しやすい形で説明する。
医師は、どのような方法手段で説明の対話を実施するか、またどれだけの情報を患者が持っているかについて、慎重に考量する。
ある処置の費用が患者の保険者によって受入れられるかどうかの疑問がある場合には、医師はそのことにつて説明するか、あるいは患者が費用を支払うことを明らかにしたことを確認する。
Art.11 患者を守るための守秘義務
患者の秘密は法規定の枠で守らなければならない。医師が職業に従事するさいに打明けられたり、または明らかになったこと全てに対して、秘密を守ることが義務づけられている。医師は患者の秘密を、とくに医師の家族に対し、また患者の家族や雇用者に対して、並びに保険者に対しても守らなければならない。
医師は、一緒に働く者、及びその診療所の中をのぞいて見る者全てに、守秘義務について説明し、可能なかぎり書面でかれらの遵守を義務づける。
患者の秘密は同僚に対しても適用される。多数の医師の共同作業のときは(例えば対診、転送、入院など)、医学的に得られた情報を引き渡すための患者の同意が、通常はその条件になっているものとして差支えない。
Art.12 記録作成義務、保存義務
医師は、職業従事において行った確認事項と実施した処置を十分に記録しなければならない。
記録は最後の記録後、少なくとも10年間は保存しなければならない。
Art.13 情報請求権
患者は自分の疾病記録の情報を請求することができる。請求に応じてコピーを作成し、引き渡さなければならない。
医師は、第三者のより大きな利益、または本人のより大きな利益のために必要なときは、情報提供を拒絶、制限または延期することができる。
Art.14 医師の報酬
医師の報酬請求は適切でなければならない。適用される料金表が算定の基礎を作る。許可されているならば、個々の症例の特別事情、とくに給付の難しさ、費やした時間及び報酬支払者の経済状態をその場合に考慮することができる。患者は透明な計算書を請求する権利がある。
医師は、患者を無報酬で処置することは自由である。
Art.15 医師の給付能力の限界
医師は自分の能力の限界及び可能性を自覚しなければならない。医師は、患者のために必要であれば、対診の医師、他の医療職従事者または社会サービスを呼ぶ。医師は全ての関与者の良き共同作業に努力する。
Art.16 セカンド・オピニオン
患者が第二の医師を呼ぶことを望んだ場合は、医師はその選択にあたって誠実に助言しなければならない。
Art.17 死につつある、及び強い障害を受けた患者に対する医師としてのケア
死につつある人に対して、避けられない死を引伸すことが、ただ苦しみを不適切に延長させるだけと判断されるときは、医師は、判断能力のある患者の意志という留保付きで、生命を延長する処置を放棄して苦痛を和らげることに限定して差支えない。
受動的安楽死passive Sterbehilfeは、このような条件の下では許されるが、これに反して積極的安楽死aktive Sterbehilfeは医師の倫理に反する。詳細についてはスイス医学アカデミーの指針(付属資料1)が適用される。
Art.18 臓器移植、断種、医師が介助する生殖、人体実験、人の遺伝学的検査
臓器移植、断種、医師が介助する生殖、人体実験、人の遺伝学的検査に関しては、スイス医学アカデミーの指針(付属資料1)が適用される。
IV 社会における行動
Art.19 公衆衛生における業務
医師はその地域において、住民の健康と健康保持という立場において奉仕する。医師は、その個人及び職業として可能な範囲において、この目的の実現を援助し、とくに健康上の予防に尽力する。
Art.20 情報と宣伝
医師は、本人の専門的資格ならびにその他のことを、患者や同僚に対して控え目で、どぎつくない方法で知らせて差支えない。
医師は、医師として従事するにあたり、客観的でなく、事実でない主張に基づく、あるいは医師の職業の威信を損う宣伝を自制しなければならない。
医師は、第三者がその医師にとって、直接または間接に利益となるような不許可の宣伝を行わないように、努めなければならない。
詳細は指針「情報と宣伝」で規定されている(付属資料2)。
Art.21 称号の標榜
称号のいかなる誤用も許されない。
医師は、スイスまたは同等の外国の大学から授与されたアカデミックな称号以外は用いてはならない。外国のアカデミックな称号は、その由来地を示さずに標榜してはならない。
専門医称号及び他の専門的な資格の標榜には、卒後研修規則の規定が適用される。
Art.22 一般への登場、メディアへの従事
公開講演及びプレス、ラジオ、テレビでの協力は望ましい。医師は、医学的及び健康政策的利益に関して、住民への啓蒙サービスをすべきである。その場合前面に出るのは、常に事実であって、医師個人ではない。詳細は医師のメディアへの従事に対する指針で規定されている(付属資料3)。
V 同僚に対する態度
Art.23 同僚としての態度、許されない批判
医師は、誠実と礼儀正しさに基づいた同僚関係に心を配る。
同僚の個人的または職業的名誉を不当に傷つける行為は、いずれも行ってはならない。
医師は、第三者に対して同僚の行為に関して述べるときは、事実及び客観的に止める。
Art.24 医師の共同作業
医師は、同じ患者を同時に、または相前後して処置する医師と、同僚として共同作業をする義務がある。
患者の承諾があるか、または承諾が推測されるときは、医師は同人の前または後、あるいは一緒に処置に当る医師に、要求があれば、得られた所見及びそれまでの処置について伝えなければならない。
特別な任務(救急、対診、費用負担者が要望したセカンド・オピニオン、転送)の場合の検査と処置は、患者が他に望まなければ、その任務だけに限定しなければならない。意見を求められる医師を選択するには、患者の同意が必要である。
Art.25 処置または診断の過誤に対する鑑定
同僚の処置または診断における起ったかもしれない過誤の問題に対して鑑定する場合には、事情の解明が完結した後にはじめて意見を述べる。意見では、過誤の問題に、できるだけ明瞭、かつ一義的に答えなければならない。判断の対象となるのは同僚個人ではなく、処置である。
Art.26 引抜き
医師は、すでに他の同僚のところで処置を受けている患者に、医師を替えるようにそそのかしてはならない。
Art.27 助言医、企業の医師、学校医、健康保険審査医
助言医、企業の医師、学校医、健康保険審査医は、救急の場合は別として、その特殊任務から逸脱する業務はいずれも行わない。
Art.28 若い同僚の育成
若い同僚の育成は、全ての医師の任務に属する。医師は、若い同僚がその自立した職業従事を始めるに当って助言と助力を与える。
卒後研修を指導する資格を与えられた医師は、指導を受ける医師の共働者を、その可能な範囲で、また卒後研修規則に従って指導しなければならない。
Art.29 入院
治療施設に患者が転送されるときは、転送した医師はそれに必要なすべての情報、できるだけ書類にしたもの、を持たせてやらなければならない。他方、施設の医師は、その後で処置を担当する医師にできるだけ速やかに退院報告を送らなければならない。治療施設を退院した患者は、患者が他を望まないかぎり、処置を行っていた医師に戻るように指示を受ける。
治療施設でさらに監視するためには、患者は通常は主治医の承諾を得なければならない。
病院の医師は、最初の委任を超えた処置と治療が必要と考えたときは、紹介した医師もしくは後で治療を受け持つ医師と合意して仕事をしなければならない。
Art.30 争いの解決
職業規則を傷つけるような、とくに非同僚的態度に由来する同僚間の争いは、直接または第三者の斡旋によって処理しなければならない。効力のある合意への試みが失敗した時は、争いは職業規則の実行を管轄する組織で白黒を争う。
VI 職業従事、費用負担者に対する態度、及びその他の規定
Art.31 医学的指揮権
医師は契約を結ぶさいに、医師として業務を行うに当って、非医師である第三者による、良心的職業従事と相容れない指揮に屈服させられることのないことを保証する。医師はとくに、特定の医学的給付を行ったり、特定の売上を達成する義務は負わない。
保険契約の枠内で予め制限に同意のなされた特定の医学的給付を、被保険者に対して行わないことを、保険者と合意することは許される。そのような場合に、医師は被保険者に、このような制限に該当しているが、医学的に適応する治療の可能性があることについても伝える。
Art.32 健康保険審査医
健康保険審査医の任務は疾病保険に関する連邦法(KVG) Art.57 で規定する。
Art.33 助言医
【訳者注:訳者は本条文を十分理解できずに翻訳していることをご承知願いたい。助言医に対する指針が付属資料4に掲載されている旨述べられているが、翻訳時点においては、FMHのホームページではまだ準備中となっていて、その内容を知ることができなかった。】
助言医は、被検査者と委任者の間に発生する可能性のある利害の争いを意識する(保険者、雇用者など)。情報を送付するさいに医師は、両者の利益が助言医に対して適用される指針(付属資料4)の範囲内で適切であることを考慮するように努める。
Art.34 証明書、報告書及び鑑定
医師の証明書、報告書及び鑑定は証書Urkundeである。医師は、その発行にさいしては十分な綿密さをはらい、誠実に医師として確信するところを表明しなければならない。
文書の目的、発行日付及びその受領者を示さなければならない。
Art.35 賠償義務−保険
医師は、職業上の賠償義務による請求に対して十分な保険をかけなければならない。賠償義務のケースが起ったときは、医師は、裁判によらない解決、場合によってはスイス医師会の鑑定所において、被害者及び保険者との合意に努める。
Art.36 患者の紹介に対する補償
医師は、患者の紹介に対して、または個々の検査や処置方法(検査室の検査など)の実施に対して、補償やその他の利益を約束、または受領してはならない。
Art.37 科学的研究に対する補償
医師は、科学的研究に患者を参加させるときに、自分の労働量及びもしかするとかかる雑費を適宜補償してもらうことができる。
Art.38 贈物の受領
たとえ患者または第三者からであっても、医師にその医師としての決定に影響を及ぼす可能性があり、また通常の小さな感謝を超えるような贈物、死因処分(遺言と相続契約の総称)、または他の利益の受領は許可されない。
Art.39 生涯教育の企画と後援
卒後及び生涯教育の企画の内容と提出は、医師の企画者だけで決定される。企画コストのために第三者からの拠出(後援)を受領することは許されている。後援者との関係は公表しなければならない。
生涯教育の企画は、科学的な根拠があり、批判眼のあるものkritischでなければならない。
Art.40 救急業務
州(Kanton)医師組織は、地域または地区の救急業務を組織または委任する。それは免除申請(部分的免除も含む)の判定に対して、実用的かつ適切な規定を作成する。
Art.41 他の保健医療職
医師は、その職業従事において、他の保健医療職に所属する者の重要性を尊重する。医師は、共働者【研修者を意味する】の人格を尊重し、かれらの教育、卒後教育を促進する。
Art.42 職業外での行動
法律で罰せられるような、また医師職業の威信と信頼を損うような医師の職業外での行為は、職業に違反する。
VII 職業規則の適用と貫徹
Art.43 適用範囲と管轄
州の保健医療法に対立する規定がないかぎり、この職業規則はFMH(スイス医師会)の全ての会員に適用される。州の医師組織は変更があればすべてを会員に伝える。
州医師組織は職業規則を守ることに配慮する。州医師組織はそのために、会員の職業規則違反を判定する特別な組織(今後職業委員会Standeskomissionと称する)を作る。職業委員会の決定は、スイス医師名誉(懲戒)裁判所【同業者による自治的な裁判】に抗告することができる。
州医師組織は下記の規定を盛り込んだ規則を公布する
·
職業委員会の構成、選挙及び業務;
·
職業委員会での手続;
·
地域内の審級順序。
中央理事会はスイス医師会の定款の枠内で、下記の規定を盛り込んだ規則を公布する
·
スイス医師名誉(懲戒)裁判所の構成、選挙及び業務;
·
スイス医師名誉(懲戒)裁判所での手続。
告発された医師は、男女の委員からなる職業委員会または名誉(懲戒)裁判所を構成することを請求できる。
スイス医師名誉(懲戒)裁判所の規定の中における一般手続規定は、職業委員会の手続にも適用される。
Art.44 適用される手続法
特定の問題において、その回答が職業規則、州医師会あるいはスイス医師名誉(懲戒)裁判所の規定のいずれからも引出せないときは、行政手続に関する連邦法の規定が適用される。
Art.45 職業規則違反の届出; 当事者たる地位
職業規則に対する違反は会員及び第三者によって届け出ることができる。手続の結果に自分を保護するのに値する利害を有し、FMHの会員であるときは、届出人または他の人は当事者となることができる。故意の届出人には、手続及び当事者費用を負担させることができる。
Art.46 時効
職業規則に対する違反の訴追は、行為後10年で時効となる。傷害を受けた患者が行為の時点において未成年であったときは、時効の期限は成年に達した時に始まる。刑法がより長い時効を規定している可罰的行為が存在するときは、この期限が適用される。
Art.47 制裁
制裁として言い渡すことができるのは:
a.
戒告
b.
50,000.-フランまでの罰金
c.
会員権の一定期間停止
d.
スイス医師会/FMHからの除名
e.
FMH−称号の剥奪
f.
州医師会あるいはFMHの出版機関における公表
g.
管轄の健康保健機関または関連する疾病保険組織への通知
これらの制裁を併科することができる。
Art.48 異議申立の委員会
戒告または1000.-フランまでの罰金が言い渡された決定、または救急業務と関連あると判断される決定に対しては、恣意または明らかな権利の侵害ということで、スイス医師名誉(懲戒)裁判所において異議申立が可能である。
Art.49 係属中の国の手続
同一の事実関係によって国の役所または国の裁判所に係属中であれば、職業裁判手続は一時停止または破棄することができる。
付属資料1
スイス医科学アカデミーの指針
A.
臓器移植に対する医学−倫理指針(1995年6月8日)
B.
不妊処置のための医学−倫理指針(1981年11月17日)
C.
医学的人工受精に対する医学−倫理指針(1990年12月31日)
D.
人体における研究実験に対する指針(1981年11月17日)(スイス医師会雑誌42/1996に公表された1996年版)
E.
人体における遺伝学的検査に対する医学−倫理指針(1993年6月3日)
F.
死につつある及び脳を著しく損傷された患者の医学的ケアに対する医学−倫理指針(1995年2月24日)