訳者解説 これは 岡嶋道夫 |
第I章
制度を進めるに当って各州の保険医協会は医師の登録を行い、登録簿を作成する。
登録の手続と登録簿の扱いなどが第I章に示されている。登録は末尾に掲げた医師登録様式に従って行う。医師登録には§6のような事項も記録される。
このような
契約医というのは、この開業認可規則によって開業を許可された保険医のことである。
1998年に精神療法士の制度が導入された。煩雑さを避けるために、今回は精神療法士に関する項目を省いて紹介する。
第II章
開業認可や地域の設定などは、役所ではなく医師会レベルの業務なので、その詳細は州の官報ではなく、通常州医師会雑誌に公示される。ドイツの公的医療保険は「連帯と自主管理(当事者主義)」を根幹の理念としていて、このような規定類は医師会雑誌に公示され、医師会雑誌は公的な性格を有する。
第III章
需要計画
この計画を実行するには、契約医の給付状況と需要をしっかりと把握し、それに対応する需要計画を作成することが求められる。
第III章では、これに対応する手続が詳しく述べられているが、たとえば§12(3)ではその要素として医師グループ(専門医の種類のグループ分け)、病院の関与、人口との関係、契約医給付の地域的関係、交通事情といったものが含まれるとしている。
第IV章
医師及び疾病金庫で構成される州委員会は、それぞれの計画地域において医師の供給不足が存在するか、あるいはそのような状況が迫っていないかを、統一的な尺度で検討し、そのような事実があれば速やかに対応する。
供給不足の状態が続くような場合は、対応を拡大することもあるとしている(§16(3)、(4)a、b)。
第IVa章
一般的な需要に適した供給度を10%超過しているときには、州委員会は医師の供給過剰と認める。つまり、医師が定員の110%に達すると供給過剰となり、開業認可委員会に対して開業認可制限を指示する。この状況がなくなれば、開業認可制限を中止させる。
第V章
開業認可の申請書には、開業する場所(診療所の住所、これを契約医地と表現した)と標榜する専門医名称を記入する。この申請提出時に添える書類などの詳細は§18に列記されている。
第VI章
開業認可と契約医地
この章は契約医として開業する場合に要求される重要な基本的事項が多数示されている。
その
契約医業務はフルタイムで行うことが義務づけられる。特別な事情があれば就労時間を減らすことができないわけではないが、半分という限定がつくし、制約を受ける。定員制という建前なので、従事する時間を自分で勝手に変更することができない(§19a)。
また、契約医業務と本質的に調和しない医師業務を行う医師も契約医としては不適切であるとしている。しかし、§20(2)に示すような業務は適切とみなされる。
§21は欠陥のある不適格医師について述べている。
これが原則であるが、医療給付が不足している地域においては融通が効くようになっている。これに関しては大変詳細な規定が作られている。
第VII章
契約医がその任務を引き受けなかったり、実行しなかったりした場合には、認可の完全または半分の休止の処置がなされる。また、契約医が義務を満たさない度合いがひどいときは認可の完全または半分が取り消される。契約医がその任務を十分に果たさないときは、このような処罰的処分がなされる。
第VIII章
開業認可委員会は、特殊な事情の場合、たとえば一般住民への供給不足が回避できる場合やリハビリ施設など限定された範囲の人たちへの給付を行う場合に、病院や施設の医師に契約医業務へ参加する権限を付与することができる。(§31)。
病院開設者の同意があれば、卒後研修を完了した病院医師に契約医給付へ参加する権利を付与することもできる(§31a)。
第IX章
職業実施共同体(グループ診療的なもの)
§32(1)契約医は病気、休暇、生涯研修または軍事訓練への参加の場合、女医においては分娩とその後の期間に代理医(代診)を置くことができるが、この条文にはその細かい規定が書いてある。
§32(2)契約医は保険医協会の承認を得た上で、卒後研修の枠内で研修医を従事させることができる。しかし、研修医を従事させることによって保険診療の拡大または過大な診療範囲を維持するのに役立ててはならない、と規定されている。
§32bは契約医が医師を雇うことができる規定であるが、供給不足の計画地域であれば問題はない。しかし、社会法典V§95(9)及び(9a)により、計画地域が供給過剰であれば、契約医の診療所のそれまでの規模を超えてはならないという制限がついている。とはいっても、その地域で必要とされる付加的(特別な専門的)需要を満たす給付であれば認められ、その診療所の制限を超えても、計算上そのような扱いにはしないということである。
§33は数名の医師によって診療所の空間と診療所の設備を共同利用し、補助者を共同で雇う所謂グループ診療の場合の規定であるが、グループ診療の分類や規定には複雑なところがあるので説明は省略する。
第X章
開業認可委員会及び抗告審判部
§34は
§35の抗告審判部委員会は不服申立を処理する委員会である。
第XI章
開業認可委員会及び抗告審判部委員会の手続
1.
医師に対する開業認可委員会
開業認可委員会の審理の手続について詳しく述べている。
2.
医師の抗告審判部委員会(異議申立手続)
開業認可に関して異議申立をした場合の処理の手続を詳しく述べている。
第XII章
開業認可に関する各種の申請、認可登録などに関連して料金を徴収される。その金額と配分などが示されている。
§2 (2)に対する