D211
社会法典 V について
社会法典 V は公的医療保険全般を規定したいわば基本法といえる性格の法律である。
社会法典 V を含めた社会法典は下記に示したように12編あり、ドイツの社会保障の根幹をなすものである。関連法律の制定に伴って、この法典の内容は常に新たになる。この法律では制度の理念、個々の法律や指針の内容を厳格に規定し、制度上の用語の定義、制度の運営方針などを示している。その内容は膨大である。社会法典 V の全条文は”google”の日本版で“SGB5”あるいは“SGB 5”と入力して検索するとトップに出てくるはずである。ドイツ語が読めなくても、関連する条文を開くとその内容を見ることができる。条文にもよるが、その内容が膨大であることを確認されてみてはいかがであろう。
ドイツでは下記12編の社会法典によって社会保障が成立していることに注目いただきたい。
社会法典 V §1 連帯と自主管理
連帯の共同体としての医療保険は、被保険者の健康を保持し、回復させ、健康状態を改善することが任務である。被保険者は自分たちの健康に対して共同の責任がある;被保険者は、健康を意識した生活をし、健康上の予防処置に早期に参加し、患者の処置及びリハビリテーションに積極的に協力することによって、病気や障害に陥ることを回避したり、それらの結果を克服したりすることに寄与しなければならない。疾病金庫は、その場合に説明、助言及び給付によって被保険者を援助し、健康的な生活環境に貢献する。
【訳者感想:この条文で主体性を持っているのは非保険者であり、これを援助する疾病金庫である。日本であったら条文で主体性を持つのは行政や医師などの医療提供者となり、患者はそれに従属する存在、疾病金庫(健康保険)はその道具という感覚で書かれるのではないだろうか?】
社会法典 V の条文タイトルの翻訳は■病院計画の
「D252社会法典 V について」に掲載されている。
なお、社会法典は下記の12編で構成されている。
SGB I 総則
SGB II 求職者のための基礎保障
SGB III 労働の促進
SGB IV 社会保険通則
SGB V 公的医療保険
SGB VI 公的年金保険
SGB VII 公的傷害保険
SGB VIII 児童少年扶助
SGB IX 障害者のリハビリテーションと参画
SGB X 行政手続と社会データ保護
SGB XI 公的介護保険
SGBXII 社会扶助