医師職業規則は医師の義務と倫理を規定した規則で、ドイツでは医師の憲法と言われるほど医師にとって、また医療にとって重要な存在である。ここに書かれている条文は、各種の法令や指針などの骨子を医師にとって読みやすく、理解しやすい文章として表現している。この規則に対する違反は制裁の対象となりうるし、裁判の時の判断基準ともなる。
このホームページには1970年版D118(htm,
pdf)、1993年版D101(htm, pdf)、1997年版D119(htm, pdf)、2003年版D129(htm, pdf)を掲載している。また、M424では、医師職業規則についての解説を試みた。
1970年版と2003年版を比較すると、内容が著しく増加しているが、それはこの短期間に医療と社会の大きな変革によって、ニーズが増したことを示すものであり、毎年のように改定が行われ、ドイツ医師会の熱心な対応が伺われる。
この種の職業倫理規則は多くの国に存在するが、日本には義務や倫理を定めたこのような規則が存在しない。拘束や処罰を嫌う国民性なのか、倫理は各自の心の中にあって規則には馴染まないという性善説的な思想によるものか、あるいは外国の事情に無知なためなのだろうか。
ドイツの規則は1889年に身分法の形でスタートしているが、当時は医師間のトラブルを調整するのが主目的であった。患者の権利擁護が盛り込まれるようになったのは1926年ごろからであるが、その後ナチズムの下に停滞した。1956年に、各州の職業規則を現在の連邦統一形式の医師職業規則として制定し、改定を重ねて今日に至っている。
スイスはこのような職業規則が必要であると考え、1997年に規則D113(htm, pdf)を制定したが、その後の改定状況については調べていない。
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