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「生涯研修の罰則付き義務化」に関連する資料
ドイツの医師には生涯研修が医師職業規則によって義務付けられていたが、2004年6月から罰則付きの義務化に改められました。
そこで義務化と罰則に関連する以下のような資料を紹介することにしました。
M422 生涯研修の罰則付き義務化と実施状況についての概説
D133 本資料 法律(生涯研修の義務と罰則を規定した公的医療保険の法律の条文)
D134 生涯研修の実施と評価を規定した州医師会の規約
なお、以前に数編の生涯研修を扱ったファイル(D109、M404、M418、P501、T605)を載せています。その中には現状と合わなくなっているものもありますが、時代の流れを知るということでは意味があるかもしれません。
編集と翻訳 岡嶋道夫
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D133
生涯研修の義務化と罰則に関する規定
社会法典 V 公的医療保険
§95d 生涯研修の義務
§137 認可された病院における質保証
SGB
V Gesetzliche
Krankenversicherung
§
95d Pflicht zur fachlichen Fortbildung
§ 137
Qualitätssicherung
bei zugelassenen Krankenhäusern
これは2003年に公的医療保険の法律に加えられた生涯研修の義務化と罰則に関する規定です。
§95d 生涯研修の義務
生涯研修の義務と罰則を規定した重要な条文です。
条文は読みにくいと思いますが、その内容はファイルM422に分りやすく示しています。
§137 認可された病院における質保証
病院医師に対する生涯研修の義務を規定しています。具体的な内容はそのうちに発表される予定です。
訳 岡嶋道夫
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社会法典 V 公的医療保険
§95d 生涯研修の義務
(1) 1契約医は、自分の職業従事において、契約医の給付に求められる専門知識の保持と進展のために必要となる範囲の専門的生涯研修を行う義務を有する。 2生涯研修の内容は医学、歯学または精神療法の領域における科学的知識の最新状況に該当しなければならない。
3それは経済的な利害とは無関係でなければならない。【訳者注:契約医というのは保険医としての資格を有し、開業認可を受けている医師のことである。病院勤務医は保険医の資格を有するが、開業認可を受けていないので契約医ではない】
(2) 生涯研修に関する証明は、医師会、歯科医師会ならびに心理学的心理療法士及び小児・思春期心理療法士の会【訳者注】の「生涯研修修了証書」によって証明することができる。その他の生涯研修修了証書は、それぞれの会の作業チームが連邦レベルとして設定した基準に該当するものでなければならない。例外的な場合には、生涯研修が(1)の2及び3項による条件に一致することを、その他の証明で行うことができる;詳細は(6)2により連邦保険医協会によって規定される。
【訳者注:これは1998年に創設された会で、名称は複雑であるが、わが国の「臨床心理士」に相当するものと解釈すればよいと思う】
(3) 1契約医は5年ごとに保険医協会に対して、過去5年間に(1)による生涯研修義務を守ったことを証明しなければならないが、開業認可が停止している期間は中断される。 2契約医として登録された地区から転居することによって、それまでの開業認可が終るときは、それまでの期間は継続される。 3 2004年6月30日に開業認可を受けている契約医は、2009年6月30日までに1項による証明を第1回目として行わなければならない。 4契約医が生涯研修の証明を提出できないか、または不完全であった場合には、保険医協会は契約医として行った給付に対して支払う報酬を、5年間の期間に引き続く4四半期の間、10パーセント削減し、その後の四半期には25パーセントを削減する。 5契約医は5年間の期間に定められた生涯研修を2年間の間に一括または分割して取り戻すことができる;取り戻しのための生涯研修は、次の5年の期間の研修に算入することはできない。
6完全に条件を満たしたという生涯研修証明を提出すると、報酬削減はその時点の四半期が終ったときに終了する。 7契約医が生涯研修証明を5年の期間が経過した後遅くとも2年以内に調達できないときは、保険医協会は遅滞なく開業認可委員会に対して、開業認可取消の請求をしなければならない。
8開業認可取消が否決されたときは、契約医が次期5年間の期間の生涯研修証明を完全に調達できた時点の四半期が終ったときに報酬削減は終了する。
(4) (1)から(3)は免許を有する医師に準用される。
(5) (1)及び(2)は医学的給付施設の勤務医または契約医に雇用されている医師にも準用される。医学的給付施設または契約医は、そこで雇用されている医師のために、(3)による生涯研修証明の面倒をみる。雇用されている医師が3ヶ月以上従事しないときは、保険医協会は申請により5年間の期間を欠落期間分だけ延長しなければならない。(3)の2から6及び8に相当する項目は、医学的給付施設または契約医の報酬を削減するという方法で準用される。保険医協会が雇用関係が終了したことを確認したときは、雇用関係が終了した四半期が経過した後で報酬の削減は終ることになる。雇用関係が継続し、認可されている医学的給付施設または契約医が、雇用されている医師に対して、5年間の期間の経過後2年以内に生涯研修証明を調達できなかったときは、保険医協会は遅滞なく開業認可委員会に対して雇用の認可を撤回する申請をしなければならない。
(6) 1連邦保険医協会は、州医師会の所轄の作業チームと協調して、連邦レベルで5年の期間に必要な生涯研修に適した範囲を規定する。 2連邦保険医協会は生涯研修証明と報酬削減の手続を規定する。 3どのような場合に契約医は5年の期間を経過する前に生涯研修の責務を果たしたという書面による認定を請求する権利があるかを、とくに規定しなければならない。 4この規定は(州の)保険医協会に対して拘束力がある。
§137 認可された病院における質保証
(1)
共同連邦委員会は、民間医療保険連合、連邦医師会並びに患者看護職の職業組織の協力の下に、§108により認可された病院に対し全ての患者を統一的に質保証する処置を議決した。その場合、各分野及び職業グループを包括するケアの条件が適切であることが考慮される。1項の決議は特に以下のように規定している
1.
§135a(2)による質保証の義務づけられた処置、並びに施設内での質管理の基本的要求、
2.
適応に当って必要となる基準、及び病院の処置の枠内で実施される診断・治療の給付、とくに費用のかかる医学的給付の質; その場合5年の期間に専門医が満たす生涯研修義務とその成果の質を含めた組織の質に対する最低要求も規定する。
3.
以下略